映画「トレインスポッティング」2枚の英国臭漂うサントラ盤

映画「トレインスポッティング」のサウンドトラック盤は2枚発売されている。2枚目の方は本編に使用されなかった曲が多く収録されていて、厳密にはサントラ盤とは言えないかもしれないけれど。そのなかで個人的に気になる曲をいくつかあげていく。映画が公開された1996年の英国匂いを感じてみる。

「ラスト・フォー・ライフ」イギー・ポップ

映画館のイスに座り、上映のブザーが鳴り、映画会社の映像が流れたあと、いきなりの攻撃にやられた。完全にノックアウト。この曲のイントロ……ドラムに合わせた映像は完全に反則だ。しかもカットなし。途切れることなく曲の最後まで流れる。

「ラスト・フォー・ライフ」は同名タイトルの1977年のアルバムに収録されている。このアルバムでも1曲目だった。作曲とプロデュースはデヴィッド・ボウイ。サントラ盤にはデヴィッド・ボウイの「ゴールデン・イヤーズ」も入っている。

「パーフェクト・デイ」ルー・リード

レントンが注射器でヘロインを打ってラリっていく場面に流れる。映像とルー・リードの声と詞、これはもう鳥肌ものだ。ヘロインの多幸感をこんなふうに表現しているのは、もうハマりすぎ。

「ただ、完璧なだけの、ある一日」と、歌の始まりは美しい。どちらかというと平凡な日常をつづったような詞が続く。少しずつ描写は具体的になっていき、最後は予言めいたリフレインで終わる。「完璧な」曲だ。

「シング」ブラー

ブリットポップを語るときに外すことができないバンド。音楽の幅広さ、別の視点からいえば無節操さは、いかにもイギリスっぽくて良い。それでも、ブラーになってしまうのはデーモン・アルバーンの存在感によるところが大きいと思っている。

動画は「シング」ではなく、「ザ・ユニヴァーサル」。1994年の名作『パークライフ』からではなく、あえて、次作の『ザ・グレイト・エスケープ』から。この曲の方が映画に合っていたように感じる。どう見ても、デーモン・アルバーンはアレックス。完全に「時計じかけのオレンジ」へのオマージュだ。

「カム・トゥゲザー」プライマル・スクリーム

なぜ、この曲を選んだのだろう。1991年の超名盤『スクリーマデリカ』。「ローデッド」や「ムーヴィン・オン・アップ」あたりが無難なのに不思議だ。『トレインスポッティング2』に収録。 『トレインスポッティング』にはインスト曲「トレインスポッティング」を提供している。

「ボーン・スリッピー」アンダーワールド

「トレインスポッティング」といえばこの曲だろう。ラストシーンに流れる。アンダーワールド に限らず、アッパーなテクノ系はスタジオ録音よりライブ盤のほうがテンションがあがる。2000年の『エヴリシング、エヴリシング』の「ボーン・スリッピー」……正確には「ボーン・スリッピー NUXX」の高揚感はたまらない。

映画のラストで、主人公のレントンが語る台詞は名言だと思う。オープニングでも同じようなナレーションがあって、始まりと終わりがうまくつながっている。よくある手法なのだけど、違和感がない。これが脚本や演出のセンスってものなのかな。

他にも、ニュー・オーダー、レフトフィールド、ゴールディ、スリーパーなど、1996年という時代を切り取ったような曲が並んでいる。もちろん、賞味期限切れかな……と思うものもあるけれど、基本的に捨て曲なしのサウンドトラック盤だ。

ひとつだけ疑問がある。

オアシスが入っていない。ブリットポップの双璧といえばオアシスとブラーだったはず。権利の関係なのかな。それとも、ブラーがやるなら「オレ、嫌だしね」とか言っのかもしれない。こちらのほうが、オアシスっぽい。

個人的には監督の趣味ではなかった、と思いたいところ。ここにオアシスを入れると完全に浮いてしまう。そんなふうに判断した、と。これも、また、観客として、リスナーとしての好みなので、オアシスのファンには怒られそうだけど。

このサントラを聴いた方はぜひ映画を、映画を観た方はぜひサントラを聴いてみてほしい。もちろん、まったくの未体験な方は両方、味わうのがお勧め。どちらも素晴らしい作品であることは間違いなく、1990年代半ばの英国風味は絶対の保証付きだ。

※続編のサントラもいい……「ラスト・フォー・ライフ」のリミックス、かっこいい